当院には、「寝違え」や交通事故での「むち打ち」による頚椎捻挫の患者様が非常に多く来院されます。(*交通事故は多くの場合、健康保険ではなく、自賠責保険の対象です)
寝違え損傷は文字通り、起床時に痛みを感じることがほとんどですが、後ろに振り向いたときに「グギッ」と痛めることもあり、首の「ぎっくり腰」だと言えます。
疲れがたまった時や睡眠不足で寝た時など、体勢を変えないまま長時間寝てしまって、特定の筋肉に極度の負担が集中し、拘縮が起こると言われますが、枕の高さが合わなかったり、悪い姿勢で寝てしまっても起こることがあります。
今問題となっているのは、姿勢不良からくる「ストレートネック」です。本来、頸椎の並び(アライメント)は7個あるうちの第4と5を頂点とする弓状の前方凸カーブを呈していますが、「ストレートネック」では、この並びが前方に直線となったもので、主にスマホやパソコンの過度の使用が原因です。
むち打ち損傷は交通事故による原因が圧倒的に多いです。車に乗っていて、後ろから衝突されると、胴体が前に押し出されると同時に首は後ろへしなります。そして一瞬のうちに反動で首が急激に前へしなって「むち打ち」となります。
左側面から衝撃を受けた時は、まず右にしなり、一瞬のうちに反動で左へ急激にしなります。
寝違え損傷に対して、いきなり患部をマッサージするということは厳禁です。初日は患部を冷却して痛みを抑え、緊張している周囲の筋肉に対し、遠隔的に手技療法や電気治療をして緩和させ、必要とあればパットを当て包帯固定をします。翌日(或いは数日後)、症状改善により温熱療法に切り替え、固定を除去します。寝違えの症状自体は3日前後で治まります。
むち打ち損傷の場合も同様の処置を行います。症状が和らいだ場合は温熱療法やテーピング固定に切り替えます。
首には細かい筋肉がたくさんありますが、表面にある僧帽筋は首、肩、背中に広く分布する筋肉で、この筋肉の痛みにより症状も首だけでなく、首や背中に至ります。また筋膜を伝って、腰や足に及ぶ場合もあります。
首(頚椎)は単に頭を支える場所ではなく、脊髄(中枢神経)の重要な通路であり、また頚椎から上肢の末梢神経へ伝達する非常に重要な場所であるので、首の治療は非常に慎重を要します。
むち打ち損傷に対しては、患部の急性症状が落ち着き次第、痛みの原因筋に対し、本格的に手技療法を行っていきます。
また必要と判断した場合、(患者様の了承を得た上で)院長が頭蓋骨と第1頚椎の間の関節(環椎後頭関節)や第7頚椎と第1胸椎の間の関節(椎間関節)の調整を行います。