柔道整復師は骨折に対しては、柔道整復師法第27条により、医師の同意を得ずに独自の判断により初回処置が認められています。(*言うまでもなく、相当な臨床経験が必要です)
柔道整復師が行う初回処置は徒手整復と固定です。しかしながら接骨院に来院される肩の骨折(上腕骨遠位端部骨折)は整復の必要がないものがほとんどであり、また治りも非常に良いです。
よって我々はまず提携医院にレントゲン検査をお願いし、骨折の状態を確認してから固定を施し、翌日より後療法を行って、完治に導きます。
肩の骨折では私にとって、最年少の症例になります。8歳女子(小学3年生)、体育の時間、跳び箱を飛んでいて着地に失敗し、肩を強打しケガをして来院しました。エコー観察器で調べましたところ、骨折様所見が描出されましたので、提携医院に依頼し、上腕骨遠位端(外科頚)骨折の診断を頂きました。すぐに当院で合成樹脂副子で固定を施し、翌日より後療法を行った次第です。
2週目に経過良好により、スダレ副子へと変更し、固定範囲を縮小。3週目より肘関節の、4週目より肩の関節運動を開始し、固定副子を除去しました。
5週目に固定を除去し、6週目、痛みがなくなり、関節機能も完全に回復。レントゲン検査を依頼して、骨癒合を確認し、完治としました。
この肩の骨折では最高齢の症例になります。日曜夜、自宅の脱衣場で転んでケガしたとの電話連絡があり、すぐに来て頂いたところ、激痛で手を動かせず、腫れもひどかったので、金属副子でしっかり固定しました。
翌日レントゲン検査をお願いし、肩(上腕骨外科頚)骨折との診断を頂きました。痛みも腫れも引いてましたが、引き続き金属副子での固定を続け、以後経過をみながら固定副子を変えて短くしたり、或いは運動療法を行い、3ヶ月で受傷前と同様に生活に戻ることができ、完治としました。
ご高齢なだけに治療にはかなり慎重を要しましたが、経過中に特に問題はなく、よかったです。
写真を見ていくと、患部のハレの引き具合がよく分かるかと思います。