足根洞症候群について(前編)

 足の痛みの中でも、頑固なものとされる「足根洞症候群」は、我々柔道整復師にとって、特に注意深く施術すべきものの1つであります。

 2015年に新潟で開催された日本柔道整復接骨医学会学術大会での整復治療手技分科会では、シンポジストとして、本症の話をする機会を頂きました。

 今回は、その時のスライドを元に、本症について説明させて頂きます。



 まずは足の機能解剖のお話です。人間の足は踵骨、その上を距骨という骨がまさに屋台骨の底辺部分となっており、両骨の間に存在する3つの関節面は臨床的には総称して「距骨下関節」や「距踵関節」と呼ばれています。しかし解剖学的には、後ろにある後関節面のみが「距骨下関節」という名称で、それ以外の前・中関節面は距骨と舟状骨との関節を含めた「距踵舟関節」と称しています。

 足根洞は、距骨下面にある中関節面と後関節面との間にある距骨溝と踵骨上面にある中関節面と後関節面との間にある踵骨溝が合わさって形成されます。



 足根洞の中央には骨間距踵靱帯、外側には外側距踵靱帯という細いスジが安定性を保っています。骨間距踵靱帯の外側端は頚靱帯と呼ばれています。

 また洞内にはパチニ小体(運動の加速度を認知)、リフィニ小体(関節運動の方向や位置を認識)、自由神経終末(知覚の受容体)といった知覚神経が多数存在しているのも特徴であります。