足根洞症候群について(後編)

 足根洞症候群は

2030歳代に好発する

バスケットボール、陸上競技、サッカーなどの種目による

以前に足首を捻挫している場合がほとんどで、他にはリウマチや痛風といった炎症性のもの、扁平足、内反足、凹足など変形性のものに起因する

などが特徴であります。

 発生のメカニズムとしては
足を強く内側にひねった場合、通常損傷する前距腓靭帯、踵腓靭帯の他、足根洞に存在する外側距踵靭帯や骨間距踵靭帯、頚靭帯の損傷も併発する。
骨間距踵靭帯、頚靭帯損傷により、足根洞内で出血する。
この血液の凝固が肉芽組織、線維性組織に変性して洞内を満たし、靭帯の動きを妨げて疼痛発生の原因になる。
また洞内に存在する多くの神経終末は、足 部だけでなく、下肢全体の運動および知覚の中枢をなしており、この部の損傷により、足部全体の運動に支障をきたし、疼痛が発症する。
と、考えられています。


 症状は
足の外側に自発痛があり、不整地歩行により痛みが増す。
下腿外側から大腿外側までの放散痛がある
下腿外側部のだるみやしびれ感、後足部の不安定感がある。
足根洞部に圧痛、ハレ、熱感を認める

足部の内側にひねったり、踵を外側にひねると痛みが増す

といったものが挙げられます。


 当院の施術方針としては、初期は損傷部の冷却療法、下腿の手技療法、電気療法、損傷部~下腿の包帯固定を施します。そして期間が経過し、炎症症状が治まってから損傷部の温熱療法、損傷部~下腿の手技療法、電気療法、運動療法に変更していきます。
 81歳女性の場合、正座から、立ち上がろうとした際に負傷したもので、初診時は
歩行が困難で、足根洞部の圧痛は著明でした、軽度の熱感とハレを呈し、左足首ねんざの既往歴がありました。初日は手技療法と冷却・電気療法を行い、副子で固定したところ、翌日には症状が軽減しており、3週で治りました。


 足部損傷の中で、特に
強い症状を呈するもの
長期間痛みが取れないもの
過去に既往歴があるもの
については、「足根洞症候群」をも念頭に於いて、施術に当たるべきである、と実感した次第であります。

 我々柔道整復師にとって、足部の疾患は日常必ず遭遇するものであり、今後も症状の早期改善に向け、学術の研鑽と技術の修練は本当に重要であると、再認識しました。

<参考教本・文献>
1.解剖学 全国学校協会 -医歯薬出版-
2.解剖学講義 伊藤隆 -南山堂-
3.日本人体解剖学 金子丑の助 -南山堂-
4.運動学 全国学校協会 -医歯薬出版-
5.足診療マニュアル 藤井英夫等 -医歯薬出版-
6.整形外科痛みへのアプローチ・下腿と足の痛み 
  寺山和雄等 -南江堂-
7.部位別スポーツ外傷・傷害()足・下腿 高倉義典 -南江堂-
8.臨床整形外科 第37巻第1号 -医学書院-