

1.コーレス骨折(伸展骨折)
<特徴>
当院では、圧倒的に高齢者に多いです。冬の降雪時に多発しますが、特に凍結時に転んだ方が骨折しやすいと思います。


<発生機序>
手掌を衝いて転倒した際に、橈骨遠位端に受ける長軸圧と、手関節を含んで強度の伸展(背屈)力が強制され、背屈と同時に橈骨遠位端部に掌側凸の屈曲力及び過度回外の捻転力が作用し、手関節1~3センチ近位部で骨折すると言われます。
*ただし実際には手を衝いて転倒したら、固定されるのは手掌の方ですから、骨折発生時は近位骨片が回内に捻転すると考えるのが普通かと思います。




<症状>
*骨折の症状には、局所的には一般外傷症状と骨折固有の症状があり、一般外傷症状としては①疼痛(痛み)、②腫脹(ハレ)、③機能障害(関節が動けない)があります。
コーレス骨折の一般外傷症状の特徴として
①疼痛は受傷直後に自発痛がみられ、限局性圧痛、介達痛は著明とされています。ただし臨床的には、ものすごい変形をしたまま平気な顔をして来院される人もいれば、激痛のため待合室で長椅子に倒れて動けない人まで様々です。
②腫脹は骨髄や軟部組織からの出血による高度な腫脹が前腕遠位端部、手関節、手部にかけて出現し、受傷後数時間で手指にまで広がります。
③機能障害として、前腕回外運動、手で物を握る、特に第1指と第2指でのつまみ動作、手関節の運動制限などがあります。
*イラストは一部ネットからお借りしました