手首骨折に対する応急手当について(前編)


今回は令和元年9月15日、氷見市いきいき元気館で行われた「第5回氷見市民公開講座」に於いて、一般講座の部で、私が講演した「柔道整復師の手首骨折に対する応急手当について」の内容を当日使用したスライド、動画を交えて報告致します。

 

まず手首の骨折は、ほとんどが手を衝いて転んだ時に起こります。


今回は骨折を起こしやすい年齢は、やはり高齢者です。骨折しやすい季節は冬の雪が降る時期に多いですが、雪が積もっている時よりも、路面凍結時の方が骨折しやすいです。


さて患者様が当院に来られて、手首の骨折が疑われる場合、接骨院ではレントゲンは撮れませんので、通常は提携している病院に、まずレントゲン検査をお願いする形となります。

 

しかし手首の骨折は、変形や激痛など緊急やむ得ない場合が多いです。

そのような場合、当院ではすぐに応急手当を行います。その応急手当とは、急場しのぎに行う一時的な手当ではなく、即座に変形を治す初回施術のことです。

 

骨折に対する初回施術には徒手整復と包帯固定とがあります。徒手整復とは、我々の手で骨折してズレた骨の位置を元に戻すことです。そして整復後、また骨がズレてしまわないように包帯で固定します。レントゲン検査はこの整復固定の後に、病院にお連れして、撮って頂く流れとなります。



手を衝いて通常の手首骨折を別名・コーレス骨折と呼びます。

 

手を衝いて手首を骨折すると、手首が持ち上がりフォーク状に変形します。

 

病院でレントゲンを撮って頂くと、折れた骨の部分がズレ上がっています。


1つの事例を紹介します。70代女性のコーレス骨折。2011年暮れに雪道で滑って、フォーク状変形を呈して来院されました。

 

痛みも変形もひどい状態でしたので、当院で私が応急手当として徒手整復で治しました。

 

徒手整復前後の写真を比較すると、フォーク状変形が完全になくなっているのが分かります。


 我々柔道整復師はレントゲンは撮れませんが、超音波は撮れます。

 

そこで超音波で骨折した手首を観察しましたところ、徒手整復前は骨が折れた部分が離れて、隙間があるのを描出し、徒手整復後は、ズレた隙間がなくなっているのを描出しました。

 続いて、その時実際に整復した場面を動画でお見せします。

 

整復は当然麻酔なしでやりますので、早く痛みをとるために、素早くかつ確実な整復操作が必要になります。助手との呼吸やタイミングも非常に大事です。


整復後は副子を用いて、包帯でしっかり固定し、病院でレントゲンを撮って頂き、骨折した部分が元に戻っているのを確認しました。その後も当院で施術を続け、4ヶ月後に完治となったのです。