

今回は足の痛みの中で、下腿(膝下)によく発症するシンスプリント(脛骨疲労性骨膜炎)について、説明をさせて頂きます。
シンスプリントとは、ランニングやジャンプなどを繰り返す事で、下腿(膝下)、特に内側の筋肉や腱にものすごい負担がかかり、それによって生じたスネ(ふくらはぎの内側)の痛みを主症状とするもので、陸上競技のトラック種目、バスケットボール、バレーボールなどに多くみられます。
痛みのメカニズムとしては、ランニングで足の蹴り出しと振り出しを頻回に繰り返すとその疲労の蓄積によりヒラメ筋、後脛骨筋といった下腿後内側の筋肉が硬くなります。
しかしそのまま運動を続ける事で筋肉だけでなく、筋肉の付着部である脛骨骨膜や骨間膜にもにも強い牽引ストレスが作用し、同部に微小な外傷を繰り返して、痛みが発生するのであります。
一般に症状の出現は、筋腱の未成熟な年代やしばらく運動から遠ざかっていて筋力が低下しているような人が、いきなり疾走型や跳躍型の運動を開始した場合が多いのですが、トップアスリートと言われるレベルの競技者でも練習方法が不適切であったり、練習量が多すぎたりすれば発生致します。
症状は
①下腿の前内側中下1/3の部分の痛みが特徴で、症状進行により痛みの範囲は広がります。
②患部に部分に索状のしこりを触れる事ができます。
③初めは運動時のみの痛みで、進行すると日常生活の歩行にも支障をきたします。
③多くの場合、初期に腫れや熱感はありません。
④X線像で異常所見はなく、これが疲労骨折との鑑別になります。
原因としては
①練習場所(硬いグラウンド)
②練習方法(走る距離を急に増やす)
③シューズなどの用具が不適切
といった外的要因の他、下腿後側の筋群の筋力低下 アキレス腱や足首、足の甲、踵部の形といった身体的要因もあります。
治療はしばらくの間、局所の安静をさせると共に、周囲筋群のストレッチや筋力強化を行わせ、数日後から患部の回復を見て、ヒラメ筋や後脛骨筋のストレッチや筋力強化を始めます。
症状が改善したら、徐々に競技活動に復帰してもらいますが、まずは局所に無理がかからないような運動から始め、回復状態を確認しながら、徐々に練習量を増やすようにします。症状が残っているときは、テーピングを施します。
まだ春先ですので、現在痛みがあるような人は、もうしばらく練習を休んで、治療に専念され、しかるべく大会に備えられた方がよろしいのではないか!と思うのであります